在宅酸素療法でケアスタッフが注意すべき4つのポイント

在宅で酸素療法の利用者人数は、2017年には16万人を超えており、在宅医療を受けている多くの方が酸素療法を利用されています。

酸素療法を必要とする疾患は心不全などの循環器疾患、肺気腫や慢性気管支炎に伴う慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患があります。喫煙習慣のあるいわゆる団塊の世代の方達が高齢となっていく今後は、更に酸素療法の需要は高まっていくと考えられます。

しかし、酸素療法は取り扱いの仕方を十分に理解していないと、命を脅かす事態が起きてしまうことも…。そこで今回は、患者さんと多くの時間を過ごすケアスタッフが酸素療法において注意すべきポイントを紹介していきます。

1)火気厳禁であることを家族に説明する

毎年酸素療法を利用されている方の喫煙による火事が発生しています。例え少量の酸素投入でも家が全焼する可能性があり、非常に危険です。

タバコに限らず、酸素より2m以内は火気厳禁です。ケアスタッフは患者さんとそのご家族に火の取り扱いに関して念入りに注意するようにしましょう。

2)正しい酸素量を吸入しているか確認する

在宅主治医から「呼吸苦時や労作時は○L」などとあらかじめ指示がされている場合、ご家族や訪問看護師が酸素量を調節する必要があります。

「今日はいつもより呼吸が苦しい」などの訴えがある場合は、医療スタッフに速やかに相談しましょう。

3)酸素マスク・酸素カニューラに関して

一般的に酸素投与量によってマスクかカニューラかを選択します。

  • 酸素投与量が3L/分以下の場合:酸素カニューラ
  • 5L/分以上の場合:酸素マスク

「マスクは窮屈」「カニューラは鼻がムズムズして嫌」などの訴えがある場合は医療スタッフに報告しましょう。

また固定する紐をきつく閉めると耳の上や頬に潰瘍ができる可能性があります。マスクであれば弾性包帯での固定、カニューラであれば耳の上に当たる部分を布で巻くなど対応できますので、痛みの訴えがあった場合も訪問看護師さんに報告して下さい。

4)利用者さんの体調を確認する

酸素療法を利用されている方の多くは呼吸器の機能が低下している為、風邪などのウイルス感染症が重症化しやすく、肺炎を合併するリスクが高くなります。その為、体調の変化にすぐ気づけるように日頃から以下の点を注意してください。

■発熱や痰の量・色に変化はないか

一般的に発熱の定義としては37.5℃以上を指しますが、高齢者は症状が不規則なことが多く、気温の変化により体温も影響を受けやすいです。日頃から患者さんの普段の体温を医療スタッフから確認しておきましょう。
しかし、高齢者は感染症を起こしていても発熱がない場合があります。
さらに、解熱剤を飲んでいることで発熱がわかりにくくなっていることもあるため注意が必要です。健康状態を発熱の有無で判断するのではなく、体調がいつもと異なる場合は医療スタッフに相談してください。

また、『痰』は身体の変化に気づく重要なポイントです。例えば、肺炎や気管支炎などの呼吸器疾患では、痰の量が増える・痰が黄色や緑色になるなどの変化が起きることがあります。
「普段より痰を出すのが大変そうだな」「ティッシュの減りが早いな」など変化を感じた場合は医療スタッフに相談してください。

■意識レベルは低下していないか

肺気腫などのCOPDの方は肺機能が低下していることから、酸素が取り込みにくく、二酸化炭素を出しにくいです。この時に過剰な酸素供給を行うと、呼吸自体が抑制され、更に二酸化炭素を十分に出すことができないことがあります(CO2ナルコーシス)。呼吸停止・昏睡状態に陥る可能性があるのでとくに肺気腫の方には注意が必要です。

「患者さんが普段より眠そうで意識がはっきりしない」「揺さぶっても目を覚まさない」など通常の意識レベルと変化があった場合は医療スタッフに連絡して下さい。

■血中酸素飽和度は低下していないか

身体の酸素量を示す血中酸素飽和度(以下、SPO2)は一般的には96~99%が基準値です。しかし、疾患の影響によっては正常値が異なることがあります。
患者さんそれぞれの健康状態によって適切な数値があるため、体温に加えて通常のSPO2についても訪問看護師さんから確認しておきましょう。
また、患者さんのご自宅にパルスオキシメーターという簡易測定器がある場合は、SPO2の値を定期的に確認することでいち早く異変に気付くことができます。

今回紹介した内容(意識レベル・血中酸素飽和度・体温)に関しては、以下のサイトでも詳しく紹介しています。ぜひご覧ください。

ケアスタッフが必ず覚えておきたい6つのバイタルサイン

まとめ

酸素療法は利用者さんの命を支える大事な治療行為です。万が一に備えて、酸素療法や関わる疾患に対する理解を深めていきましょう。